社会保険庁長官 および 社会保険審査官 の審査には何か問題があるように思われます。ここに緊急公開して 皆様とともに考えたいと思います!
■その1■下記の比較表をご覧ください。
左側は心疾患の認定基準(認定要領)において、2級に相当すると認められるものの一部例示(改正前)です。
右側は社会保険庁長官により3級と決定された方の障害の状態です。
どなたが判断しても、明らかに請求人は2級の基準を満たしています。
したがって認定要領に基づく限り社会保険庁長官が請求人の障害の程度を3級と決定したことは誤りです。
| 2級認定要領 | 請 求 人 | |
|---|---|---|
| 臨 床 症 状 | 浮腫、呼吸困難等 | 浮腫、呼吸困難、動悸 息切れ、倦怠感 |
| A表心臓疾患重症度区分表 | 2 | 2 |
| B表心臓疾患検査所見等 | 1つ以上 | 2つ |
そこで当事務所が代理人となり、東京の社会保険審査官に対して、2級を認めるように審査請求(不服申立)を行いました。
上記の審査について、常識的な判断力があれば1秒で、どんなに遅くとも60日以内には結論が出せるはずです。
ところが、この事件について東京の社会保険審査官は、法律で定められた60日どころか、106日目にしてやっと決定を行いました。
結果は棄却でした。(平14.3.12)臨床所見によると、動悸、息切れ、倦怠感、呼吸困難及び浮腫は「有」とされているが、肺うっ血、狭心痛、器質的雑音及びチアノーゼについては「無」とされている。
また、心電図所見によると、肢誘導左側胸部誘導又は両方のTの逆転は「有」とされているが、その他の所見はいずれも「無」とされておりX線所見によると、肺静脈うっ血は「無」とされ心胸廓係数は46%であるとされている。
なお、Y医師の回答書によると、EF(左室駆動率・駆出率)は66%心電図は正常範囲であるとされている。
以上のことから総合的に判断すると、請求人の当該傷病による障害の状態は、臨床所見において、浮腫、呼吸困難等が有りとされ心電図所見において、肢誘導左側胸部誘導又は両方のTの逆転が有りとされ活動能力の程度について「家庭内の極めて温和な活動は何でもないが、それ以上の活動では心不全症状又は狭心症症状がおこる。」とされているものの、現在の症状は安定しており、時に動悸、呼吸困難を訴えるとされ、EF(左室駆動率・駆出率)及び心電図が正常範囲であるとされていることから、前記認定基準における2級の、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものと認めることは困難である。
まず本件の最大の争点は心疾患の認定要領に基づく限り請求人は2級の基準を十分満たしているという事実です。
しかし、この重大な点について社会保険審査官はひとことも触れておりませんし、社会保険審査官自身も、心疾患の認定要領に従った審査をしておりません。
社会保険庁長官が心疾患の認定要領に基づく審査を怠っているならば、なおさらのこと、社会保険審査官は「審査」官なのですから審査の公正性を示すためにも、心疾患の認定要領に基づいて審査を行うのが当然ではないでしょうか。
平成12年、当事務所が、心疾患で3級不該当処分となった方の代理人となり、東京の社会保険審査官に対して審査請求を行った時も棄却されましたが、その時、審査官は認定要領に基づいて審査をおこない、その方の症状が認定要領を満たしていないことを棄却理由に挙げていました。
しかるに、本件の請求人の場合、認定要領を十分に満たしているにもかかわらず、審査官が認定要領に基づいては審査をしなかったのはどういうわけでしょうか??ちなみに、その時の審査官と本件を棄却した審査官とは同一人物です!
したがって、このように社会保険庁長官にベッタリと追随する姿勢では、社会保険審査官が公平・中立を逸脱し、積極的に社会保険庁長官の側に立っていると受け取られても仕方ないでしょう。
ということは、常識的な判断力があれば1秒で結論が出せるものを審査に106日もかかったとすれば、それは棄却のための理由探しを必死でやっていたからでしょうか?
上記4つのパラグラフのうち、3つ目までが棄却の原因となる判断材料で、これらを総合すると、2級を認めるのは困難であるというのが社会保険審査官の趣旨です。
しかしながら第1・第2パラグラフの状態はすでに心疾患の認定要領で2級の状態をクリアしているものです。
したがって、Y医師の回答書による請求人のEF(駆出率)が66%で、心電図が正常範囲であるというのが、社会保険審査官の棄却理由となります。
しかし心電図については「B表心臓疾患検査所見等」の中で判断することになっており、心電図単独では審査することになっておりません。
そして前記比較表でおわかりのように、請求人は「B表心臓疾患検査所見等」もクリアしております。
したがって心電図が正常範囲というのは正当な理由になりません。
結局、社会保険審査官は心疾患の認定要領をまったく無視して請求人のEF(駆出率)が66%だからということで棄却したことになります。
本件審査請求の審理の時点では、心疾患の認定基準(認定要領)には、EF(駆出率)についての記述は一行たりともありませんでしたし、診断書にもEFについての記載欄はありませんでした。
にもかかわらず、106日もかけて敢えてEF(駆出率)なるものを持ち出したのは、認定要領に基づいた審査では請求人の不服を認めざるを得なくなるため、心疾患の認定要領に従った審査は絶対に避けたかったからでしょうか?
そして、このEF(駆出率)66%を2級の包括条項たる「日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」という「玉虫色の基準」に照らせば、2級を認めることは困難であるとして棄却できるものと決断したのでしょうか?
しかしEF(駆出率)が66%であっても、社会保険審査官がいみじくも棄却理由の第4パラグラフの中で言及しているように、請求人は 「時に動悸、呼吸困難を訴える状態」にあります。
当事務所が請求人に確認したところ、上記の状態は1日1回は起きるとのことです。
毎日、動悸や呼吸困難が起きるということは大変なことです。
ということは「いったいEFの検査値とはどの程度信頼できるものか」という疑問が生じてきます。
これについて、自身も心疾患の障害者であり「バチスタ手術体験記」というサイトを運営しているN氏によれば「場合によっては10%台の測定誤差が出ることもあるようです」とのことです。
これは驚くべきことではありませんか!
以下が「バチスタ手術体験記」で公開されている心疾患の障害者の方々のEFに対する評価です。
「実のところEFの数字はどれが本当??というところがあります。エコーの数字は結構幅とうか誤差があるようです」
「EFは測定する機械(エコー、RIなど)によってもちがう、術後は良かったものが、一年後は落ちているものもあったりしてひとつのデータだけで考えないほうがよいとのことです」
「エコーで測定した拡張時と収縮時の左心室の直径をもとに球体を作って、その容積差と拡張時容積の比率をとるので、誤差が大きいのはよくわかります」
ちなみに社会保険審査会は、平成12年3月31日の裁決では「改善されたというEFの値自体、通常人のレベルよりかなり低いものであることからみて、EFの値の改善のみから、病状が改善方向にあると断定することはできない」という判断を示しています。
仮にEFの数値に誤りはなく、数値の上では異常が認められなかったとしても、請求人の自覚症状は毎日大変な状態なのですから、東京の社会保険審査官は心疾患の認定要領に基づいて審査をおこなうべきであったのではないでしょうか?