01■日本年金機構の審査の実態

障害の状態が変わらないのに支給停止の処分を受けてしまった実例


 この実例は、有期認定により障害年金(2級の障害基礎年金)の受給期間の満了を迎えた時の受給者の障害の状態が、受給権取得時の状態と全く変わらないにもかかわらず、2級非該当として審査をされたケースです。

 当事務所は、この件について、審査請求(不服申立)の段階で相談をお受けました。

 ご相談者の障害は精神疾患に基づくものでしたが、主治医は診断書の記載において、前回の診断書と比較して今回も「変化なし」と診断しており、また受給期間中、精神の障害に係る認定基準について、改正や変更も一切ありませんでした。

前回診断書記載時との比較欄は「変化なし」

変化なしに丸印
認定時と更新時の障害の状態の比較
取得時更新時
⑥-ア 現在の病状又は状態像
抑うつ状態 憂うつ気分 憂うつ気分
幻覚妄想状態等 その他(関係念慮) 妄想 その他(関係念慮)
精神運動興奮状態及び昏睡の状態 その他(意欲低下)
統合失調症等残遺状態 意欲の減退
⑥-イ 上記状態について、その程度・症状・処方薬等を具体的に記載してください
関係念慮が時々出現し、その時は抑うつ感がつよまる
子供の世話を含め家庭のことはできているが社会的活動には困難である
関係念慮が時々出現し、その時は抑うつ感が強くなる
子供の世話を含め家庭のことはできているが社会的活動は困難である
⑥-ウ日常生活状況
1 家庭及び社会生活についての具体的な状況
現在の生活環境 在宅 在宅
同居者の有無 -
全般的状況 対人恐怖が強い 対人恐怖が強い
2 日常生活能力の判定
(1)適切な食事ー配膳などの準備も含めて適当量をバランスよくとることがほぼできるなど。
自発的にできる できる
(2)身辺の清潔保持ー洗面、洗髪、入浴などの身体の衛星保持や着替えなどができる。なた、自室の清掃や片付けができるなど。
自発的にできるが援助が必要 自発的にできるが時には助言や指導を必要とする
(3)金銭管理と買い物ー金銭を独力で適切に管理し、やりくりがほぼできる。また、一人で買い物が可能であり、計画的な買い物がほぼできるなど。
概ねできるが援助が必要 おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
(4)通院と服薬ー規則的に通院や服薬を行い、病状などを主治医に伝えることができるなど。
要 自発的にはできないが援助があればできる 要 助言や指導があればできる
(5)他人との意思伝達及び対人関係ー他人の話を聞く、自分の意思を相手に伝える、集団的行動が行えるなど。
概ねできるが援助が必要 おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
(6)身辺の安全保持及び危機対応ー事故などの危険から身を守る能力がある。通常と異なる事態となった時に他人に援助を求めるなどを含めて、適切に対応することができるなど。
概ねできるが援助が必要 おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
(7)社会性ー銀行での金銭の出し入れや公共施設などの利用が一人で可能。また、社会生活に必要な手続きを行えるなど。
(項目なし) おおむねできるが時には助言や指導を必要とする
3 日常生活能力の程度=日常生活能力の程度を記載する際には、状態を最も適切に記載できる(精神障害)または(知的障害のどちらかを使用してください。
精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。 精神障害を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。(たとえば、習慣化した外出はできるが、家事をこなすために助言や指導を必要とする。社会的な対人交流は乏しく、自発的な行動に困難がある。金銭管理が困難な場合など。)
⑦現症時の日常生活活動能力及び労働能力
日常生活は可能であるが労働は困難 日常生活は可能であるが労働は困難
⑧予後
このままの状態が症状に一進一退はあるものの持続する可能性が大きい
⑨備考
このままの状態が症状的に一進一退はあるものの持続する可能性が大きい

 したがって、当事務所は、まず保険者(日本年金機構)に対し、審査請求前の確認事項として、判断理由(2級非該当の根拠)について照会(質問)を行いました。

 しかし、何度照会しても、日本年金機構は,事実上,質問の趣旨には答えようとせず、結局、最後には回答を拒否する、という始末でした。(照会と回答 1 2 3 4 5 )

 そこで、何としても2級非該当の根拠を探るべく、審査をしたとされる認定医の意見書を取り寄せたところ、これまた驚くべきことに、認定医の氏名欄も意見欄も未記入でした。

認定医の意見書は氏名欄も意見欄も記入されていない

認定医の意見も氏名も空欄

 以上は、公正な審査という観点において、障害年金の申請者・受給者に著しい不審感を抱かせるものです。

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