下記の精神障害における症状および程度の比較表をご覧ください。
右側は当事務所が代理人となり、神奈川の社会保険審査官(以下「審査官」)に対して、2級を認めるように審査請求を行った結果、棄却されたの方の症状(うつ病)です。
左側は、平成5年に社会保険審査会(以下「審査会」)の裁決で2級と容認された再審査請求人の症状(そううつ病)です。
審査会で出された裁決は、裁判の「判例」に匹敵するほどの意味をもちます。
説明するまでもなく、常識的な見方で両者の症状を比べれば、障害認定日及び裁定請求日とも、審査請求人のほうが重度の状態にあるのは明かです。
審査官制度の目的は簡易迅速な手続による被保険者の権利利益を図ることにありますが、下記の審査については、たとえ専門的な知識がなくとも常識的な判断力があれば1日で、どんなに遅くとも、法律で定められた60日以内には結論が出せるはずです。
しかしながら、この事件について神奈川の審査官は124日目にしてやっと決定を行いました。
| 平成5年再審査請求人 | 審査請求人(障害認定日) | |
|---|---|---|
| 状態像 | 躁状態(多弁、感情昂揚) | 抑うつ状態 (思考・運動制止、刺激性、興奮、憂うつ気分) |
| 上記状態についての具体的記載 | この2〜3カ月睡眠時間が短くなり不眠の日あり。多弁。午前、午後に2度ジョギングをしている等、躁状態 | 強い抑うつ、時に希死念慮、引きこもり不眠、及び不眠へのこだわり |
| 食事 | ひとりでできる | 援助があればできる |
| 用便の始末 | ひとりでできる | 援助があればできる |
| 入浴・洗面・着衣 | ひとりでできる | 援助があればできる |
| 簡単な買い物 | ひとりでできる | 援助があればできる |
| 家族との会話 | 通じる | 少しは通じる |
| 家族以外の者との会話 | 通じる | 通じない |
| 刃物・火事の危険 | わかる | 少しはわかる |
| 屋外での危険から身を守る | 守れる | 不十分ながら守れる |
| 日常生活能力の程度 | (2)精神症状を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが社会生活上困難がある | (3)精神症状を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが時に応じて援助や保護が必要である |
| 労働能力 | 日常生活は一応普通にできている。 うつ状態が強いときや、躁状態から幻覚妄想状態になった時は周りの人の援助や入院を要する。 労働能力はうつと躁状態が頻繁に繰り返されて長続き出来ず定職での就業は無理。 |
日常生活は援助があれば可能。 労働能力はない。 |
| 平成5年再審査請求人 | 審査請求人(障害認定日) | |
|---|---|---|
| 状態像 | 躁状態(多弁、感情昂揚) | 抑うつ状態 (思考・運動制止、刺激性、興奮、憂うつ気分) |
| 上記状態についての具体的記載 | この2〜3カ月睡眠時間が短くなり不眠の日あり。多弁。午前、午後に2度ジョギングをしている等、躁状態 | 抑うつ感、強迫思考。睡眠リズムの乱れ等の自立神失調もみられる。対人関係への不安強く、家族以外との社会関係からのひきこもり著明 |
| 食事 | ひとりでできる | 援助があればできる |
| 用便の始末 | ひとりでできる | ひとりでできる |
| 入浴・洗面・着衣 | ひとりでできる | 援助があればできる |
| 簡単な買い物 | ひとりでできる | 援助があればできる |
| 家族との会話 | 通じる | 少しは通じる |
| 家族以外の者との会話 | 通じる | 通じない |
| 刃物・火事の危険 | わかる | 少しはわかる |
| 屋外での危険から身を守る | 守れる | 不十分ながら守れる |
| 日常生活能力の程度 | (2)精神症状を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが社会生活上困難がある | (3)精神症状を認め、家庭内での単純な日常生活はできるが時に応じて援助や保護が必要である |
| 労働能力 | 日常生活は一応普通にできている。 うつ状態が強いときや、躁状態から幻覚妄想状態になった時は周りの人の援助や入院を要する。 労働能力はうつと躁状態が頻繁に繰り返されて長続き出来ず定職での就業は無理。 |
日常生活は援助があれば可能。 労働能力はない。 |
請求人の障害認定日における当該傷病による障害の状態は、抑うつ状態として思考・運動制止、刺激性・興奮、憂うつ気分があり、日常生活状況は家族以外の者との話は通じないものの、他の項目は援助があればできる等で日常生活能力の程度は(3)で「精神症状を認め、家庭内の単純な日常生活はできるが、時に応じて援助や保護が必要である」となっている。
また、裁定請求日における当該傷病による障害の状態は、抑うつ状態として思考運動制止、刺激性、興奮、憂うつ気分があり、日常生活状況は用便の始末はひとりででき、家族以外の者との話は通じないものの、他の項目は援助があればできる等で、日常生活能力の程度は(3)で「精神症状を認め家庭内の単純な日常生活はできるが、時に応じて援助や保護が必要である」となっている。
以上を総合すると、障害認定日及び制定請求日において、請求人の障害の状態は、2級の障害基礎年金及び障害厚生年金が支給される程度の状態として国年令別表に「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は、長期わにたる安静を必要とする症状が前各号と同等程度以上に認められる状態であって日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活が著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(2級15号)」「精神の障害であって、前各号と同等程度以上と認められる程度のもの(2級16号)」に該当するとは認められず、2級の障害の状態に相当すると認めることはできない。
まず本件の最大の争点は、当方が提起・主張している審査会で2級に認められた再審査請求人よりも、審査請求人の程度のほうが重度の状態にあるということです。
しかし、この重大な点について審査官はひと言も触れておりません。
この姿勢から、審査官が明らかに棄却を前提に処理していることがハッキリわかります。
次に上記3つのパラグラフのうち、第1・第2のパラグラフはただ審査資料(事実関係)を提示しているだけです。
そして第3パラグラフでいきなり理由もなく「2級に認めることはできない」と結論を出しています。
審査官は、審査請求人等が積極的に提出した資料を採用しなかった場合、その理由を明らかにしなければなりません。
さらに審査請求人が提起・主張していることに対しては明確な判断を示さねばなりません。
本件の審査官はこれらの通達を守っておりません!
したがって、本件は明らかに不当な審査です!!
以上から124日もの間、棄却のための理由探ししかやらなかったにもかかわらず適当な理由が見つからなかった、ということがよくわかります。
平成5年再審査請求人よりも審査請求人の症状のほうが重度の状態にあるという否定しがたい事実を突きつけられ窮地に立たされたため、本件を何としても棄却したいという一念だけで処理(←審査ではありません)を行なおうとした様子が、上記分析からありありと伝わって参ります。
公正・中立・正義に基づいた審査の形跡など微塵も見受けられません!! 「初めに棄却ありき」の姿勢で処理された典型的な例です!!
専門家が不服を正当に主張しても、平然と不正義をはたらく事実から、これまでにも本件の審査官によって大勢の障害者の方が泣かされてきたものと思われます。
審査官が従来通りの理不尽な棄却決定をくり返し続けるならば、当事務所も断固として、その具体的内容を公開していきます。
審査官には「いまがITの時代であり、世の中の片隅に起きたどんな小さなことも(つまり自分が行った正義に反する棄却決定も)インターネットにより一瞬にして日本中に知れ渡る」という認識が大きく欠如しています。
審査官は、この認識に早く目覚める必要があります。