下記の「肢体の障害」における程度の比較表をご覧ください。
右側は、当事務所が代理人となり、青森の社会保険審査官(以下「審査官」) に対して、不支給処分を取り消して2級を認めるように審査請求を行った結果、棄却されたの方の症状です。
左側は平成8年2月29日に社会保険審査会(以下「審査会」)の裁決で「四肢の機能に障害を残すもの」と判断され2級と容認された再審査請求人の症状です。
審査会で出された裁決は、裁判でいう「判例」に匹敵するほどの意味をもちます。
| 平成8年再審査請求人 (右上下肢) | 請求人 (右上下肢) |
|
|---|---|---|
| つまむ | 右△ | 右△ |
| 握る | 右△ | 右△ |
| タオルを絞る | 両手△ | 両手△ |
| ひもを結ぶ | 両手△ | 両手△ |
| さじで食事をする | 右○ | 右△ |
| 顔に手のひらを つける | 右○ | 右△ |
| ズボンの前ボタンの ところに手をやる | 右○ | 右△ |
| 尻のところに 手をやる | 右○ | 右○ |
| かぶりシャツを 着て脱ぐ | 両手△ | 両手△ |
| ワイシャツを着て ボタンをとめる | 両手△ | 両手△ |
| 歩く | 屋内△、戸外△ | 屋内△、戸外△ |
| 片足で立つ | 右○ | 右△ |
| 立ち上がる | ○ | ○ |
| 階段を登る | △ | △ |
| 階段を降りる | △ | △ |
| 平成8年再審査請求人 (左上下肢) | 請求人 (左上下肢) |
|
|---|---|---|
| つまむ | 左△ | 左△ |
| 握る | 左△ | 左△ |
| タオルを絞る | 両手△ | 両手△ |
| ひもを結ぶ | 両手△ | 両手△ |
| さじで食事をする | 左△ | 左△ |
| 顔に手のひらを つける | 左○ | 左△ |
| ズボンの前ボタンの ところに手をやる | 左△ | 左△ |
| 尻のところに 手をやる | 左△ | 左○ |
| かぶりシャツを 着て脱ぐ | 両手△ | 両手△ |
| ワイシャツを着て ボタンをとめる | 両手△ | 両手△ |
| 歩く | 屋内△、戸外△ | 屋内△、戸外△ |
| 片足で立つ | 左△ | 左△ |
| 立ち上がる | ○ | ○ |
| 階段を登る | △ | △ |
| 階段を降りる | △ | △ |
| 再審査請求人 | 請求人 |
|---|---|
| 2級の障害者手帳の交付を受けて いることを根拠として、障害の程度 も2級であると認められている。 |
平成16年3月16日以降、2級の 身体障害者手帳を所持している。 |
請求人は常時頚椎固定装具を使用しているものの、診断書(10)日常生活動作の障害の程度について、M医師は回答書で、「タオルを絞る:両手△ 上衣の着脱:両手△ 片足で立つ:右△:左△ 座る:△」であると回答しており、この内容を包含した請求人の日常生活動作の多くが「一人でできてもやや不自由な場合」であり、一部が「一人でできるが非常に不自由な場合」に該当するものの、「一人で全くできない場合」に該当するものはない。加えて「一人でうまくできる場合」もある。
以上の事実を総合的に判断すると、裁定請求時における当該傷病による障害の程度は「四肢の機能に障害を残すもの」に該当すると認めることは困難である。
審査官は、その職務の性質上、中立・公正を本位として審理を行わねばならないため、審査に関して、詳細な通達が出されています。
まず決定書の理由については昭和25年9月29日、次のように通知されています。
〈ア〉「決定書の理由は、事実関係、請求人の申立の趣旨、決定庁の陳述、及びこれに対する審査官の判断を明確に示すこと」
また事実の認定及び判断については平成元年7月10日次のように通知されています。
〈イ〉「争点に関して請求人等が積極的に提出した資料を採用しなかった場合には、その理由を明らかにするこ と」
そして大阪地は昭和38年5月25日、次のような判断を示しています。
「審査決定に付記すべき理由は、不服の事由に対応してその結論に到達した過程を明らかにしなければならないのであって、理由 付記として『調査の結果原処分は正当である』としか記載しないような決定は、請求人が棄却の理由を推知できる場合であると否とを問わず、取り消しを免れない」
さらに最高裁も昭和32年1月31日、次のような判断を示しています。
「異議及び訴願について審理を遂げその当否を判断した場合、その理由を説示すべきことは当然の事理として推奨されるべきであろう。少なくとも訴願の裁決については訴願法14条においてその理由を付すべきことを要請しているから、裁決にその理由を説示しないことは違法といわなければならない」
上記〈ア〉及び〈イ〉の通達事項は、仮に通達として通知されていなくとも、中立・公正な審査を行うためには、社会通念上、最低限、しかも当然に遂行しなければならない事項です。
当代理人は上記〈ア〉及び〈イ〉の通達事項、大阪地裁、及び最高裁の判例を敢えて明示したうえで、不服申立を行いました。
また当代理人が主張している「請求人の障害の程度のほうが平成8年再審査請求人よりも重度の状態にある」及び「2級の障害者手帳の交付を受けているので障害の程度も2級である」というのは本件の最大の争点でもあります。
したがって審査官が当代理人の審査請求を棄却する場合でも、当代理人の主張に対して明確に判断を示し、かつ、当代理人が積極的に提出した資料(平成8年の審査会裁決、及び平成9年以降の審査会裁決)を採用しなかった理由を明らかにする必要があります。
にもかかわらず審査官はこの最大の争点について、まったく一言も触れておりません。
当代理人は不服申立の際に、上記〈ア〉及び〈イ〉の通達事項、大阪地裁、及び最高裁の判例を明示し、敢えて念を押しているのですから、審査官は故意にこれらの通達、及び判例を一切無視したことになります。
そして専門家である当代理人から見れば、根拠のない個人的な感覚(私的基準)で審査請求を棄却しております。
中立とは社会通念上、公平に聞く耳を持つということですから、その意味では、審査官の行為は明らかに中立から逸脱しています。
果たして皆様の目にはこの審査官の審査が「中立・公正」な行為として映るでしょうか?
特に青森県にお住まいの皆様、将来、あなたが障害年金の不服申立を行おうとした場合、このような審査が今度はあなた自身の身に降りかかる可能性があることを覚悟しなければなりません。
「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない」
と、日本国憲法第16条に記載されています。