平成18年(厚)第234号
平成19年2月28日裁決

主文
社会保険庁長官が、平成○年○月○日付で再審査請求人に対し、障害等級3級の障害厚生年金を、平成○年○月分から支給するとした処分を取り消し、同人に対し、平成○年○月分から同年金を支給するものとする。

理由

第1 再審査請求の趣旨
再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、主文と同旨の裁決を求めるということである。

第2 再審査請求の経過
1 請求人は、直腸癌(以下「当該傷病」という。)により障害の状態にあるとして、平成○年○月○日(受付)、社会保険庁長官にし、障害厚生年金の裁定を請求した。
2 社会保険庁長官は、裁定請求書に添付して提出された診断書を診査した結果、請求人の当該傷病に係る初診日を平成○年○月○日、同傷病の治療のため請求人が人工肛門造設術を受けた同年○月○日を当該傷病に係る障害認定日(以下同日を「本件障害認定日」という。)と、それぞれ認定したうえ、同障害認定日における請求人の当該傷病による障害の状態は、厚生年金保険法(以下「法」という。)別表第1に掲げる障害の程度(3級)に該当するとして、平成○年○月○日付で請求人に対し、本件障害認定日を受給権発生日とする3級の障害厚生年金を裁定するとともに、同年金の支給は平成○年○月分からとする旨の行政措置(以下「原処分」という。)をした。
3 請求人は、原処分を不服とし、前記障害厚生年金をその受給権発生日の属する月の翌月(平成○年○月)分から支給するよう求めて、○○社会保険事務局社会保険審査官に対する審査請求を経て、平成○年○月○日(受付)、当審査会に対し再審査請求をした。その主張の要旨は、平成○、○年頃○○社会保険事務所に出向き、障害厚生年金について相談をしたが、窓口担当者に身体障害者手帳4級では駄目で、同手帳3級以上でないと対象にならないと言われ、障害厚生年金裁定請求手続きもさせてもらえなかった経緯があるのだから、今回裁定された障害厚生年金の受給権に消滅時効を適用することは納得できない、というものである。

第3 問題点
本件の問題点は、請求人の前記第2の3の主張(以下「請求人の本件主張」という。)に理由があると認められるかどうかということである。

第4 審査資料
「(略)」

第5 事実の認定及び判断
1 「略」
2 前記審査資料によれば、請求人は、直腸癌の治療のため、平成○年○月○日に人工肛門造設術を受け、平成○年○月○日付で身体障害者手帳の交付を受けており、同手帳には障害名として「直腸機能障害 下行S状人工肛門」、級別「4級」と記載されている。そうして、請求人は、○○会に参加して色々と助言を得て障害厚生年金のことを知り、平成○、○年頃○○社会保険事務所に出向き、同年金の相談をしたところ、身体障害者手帳4級では駄目で、3級以上でないと対象にならないと言われ、それを信じた旨申し立てている。
3 平成○、○年頃、○○社会保険事務所において上記2のような応接があったとする請求人の申立については、上記のとおりいわば口頭による門前払いの扱いであったため、請求人側には事実を裏付ける資料がなく、一方保険者側は、相談記録を作成したと思われるが、既に廃棄したとしているため、当事者双方に事実の存否を裏付ける資料がない。しかしながら、@請求人は人工肛門造設後、同じ障害を持つ人達の会に参加して色々な助言を得たのであるから、その一環として障害厚生年金受給の可能性があることを知り、○○社会保険事務所へ相談に出向いたことは、ごく自然な成り行きと認められ、また、Aその際の保険者の応答として請求人が申し立てる内容は、具体性があり、同人が平成○年に身体障害者手帳(4級)の交付を受けていることとも符合していることから、 本件障害認定日から5年経過前の平成○、○年頃、請求人が同社会保険事務所の窓口に同手帳を持参して障害厚生年金受給の希望を申し出て、その手続きの教示を求めた事実があったと推認するのが相当である。
4 そうすると、請求人の本件主張には理由があり、原処分は妥当でないから、これを取り消し、主文のとおり裁決する。