平成18年(厚)第292号
平成19年4月27日裁決

主文
社会保険庁長官が、平成○年○月○日付で、再審査請求人に対し、障害基礎年金を支給しないとした処分は、これを取り消す。請求人には、平成○年○月○日を受給権発生日とする障害等級2級の障害基礎年金及び障害厚生年金を支給するものとする。

理由

第1 再審査請求の趣旨
再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、主文と同旨の裁決を求めるということである。

第2 再審査請求の経過
1 請求人は、頚髄損傷及び第2頸椎歯突起骨折(以下「当該傷病」という。)により障害の状態にあるとして、平成○年○月○日(受付)、社会保険庁長官に対し、いわゆる事後重症による請求として、障害基礎年金及び障害厚生年金(以下、併せて「障害給付」という。)の裁定を請求した。
2 社会保険庁長官は、裁定請求書に添付して提出された診断書を診査した結果、請求人の裁定請求日における、当該傷病による障害の状態は厚生年金保険法施行令別表第1に定める程度に該当しているとして、平成○年○月○日付で、請求人に対し、障害等級3級の障害厚生年金を支給する旨の処分(以下「原処分」という。)をした。
3 請求人は、原処分を不服とし、○○社会保険事務局社会保険審査官に対する審査請求を経て、平成○年○月○日(受付)、Aを再審査請求代理人(以下「代理人」という。)に立てて、当審査会に対し再審査請求をした。請求人は、公開審理期日に際し、Bを代理人に追加して立てた。

第3 問題点
本件の問題点は、請求人の障害の状態が、本件裁定請求日において、国民年金法施行令(以下「国年令」という。)別表に定める障害の程度(1級又は2級)に該当していると認められるかどうかである。

第4 審査資料
「(略)」

第5 事実の認定及び判断
1 「略」
2 前記認定の事実に基づき、本件の問題点を検討し、判断する。
(1) 当該傷病による障害について障害等級2級の障害給付が支給される障害の状態としては、国年令別表に「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」(15号)が掲げられている。ところで、社会保険庁では、国民年金法及び厚生年金保険法上の障害の程度を認定するためのより具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(以下「認定基準」という。)を定めているが、給付の公平を期するための尺度として、当審査会もこの認定基準に依拠するのが相当であると考えるものである。認定基準の第3第1章第7節/肢体の障害の第3体幹・脊柱の機能の障害、によれば、「脊柱の機能に著しい障害を残すもの」は3級とされ、脊柱又は背部・軟部組織の明かな器質的変化のため、脊柱の自動可動域が参考可動域の2分の1以下に制限されたものがこれに該当するものとして例示されている。また、認定基準の同章第9節/神経系統の障害によれば、疼痛は、原則として認定の対象とならないが、脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛、根性疼痛等の場合は、疼痛発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚的所見等により、軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のものは、3級と認定する旨規定されている。そうして、認定基準の第2章第2節/併合( 加重) 認定によれば、二つの傷病による障害が併存し、これを併せた障害の程度を判定するには、個々の障害について併合判定参考表による該当番号を求め、この該当番号を併合(加重)認定表にあてはめて併合番号を求め、これにより障害の程度を判定するものとされている。
(2) 前記1で認定した請求人の当該傷病による裁定請求日における障害の状態を認定基準に照らしてみると、まず、脊柱の可動域については頚部他動可動域が参考可動域の1/2以下に制限されているから、「脊柱に著しい障害を残すもの」に該当し、3級であって、併合判定参考表の該当番号6号に該当する。次に、請求人は裁定請求時において、頑固な頭部、背部の痛みのため労働は不可能と診断されており、これは、医学的通念からすると、頚部の運動制限に由来するものとは考えられず、この疼痛については脊椎の運動可動域の制限とは別の障害の状態として評価するのが相当であり、資料2の記述及び公開審理当日の請求人の陳述をも併せて評価すれば、この疼痛に係る障害の程度は、前記認定基準に照らし、3級(併合判定参考表の該当番号は7号)に該当すると認められる。そうすると、請求人の以上2つの障害の状態を併合認定すれば、併合番号は4号となり、これは2級に相当するから、原処分は失当であり、取り消さなければならない。
(3) なお、請求人には、上記(2) の2つの障害の他にも@日常生活動作の一部に、やや不自由な項目がある、A閉眼での起立・立位保持が不安定、B食事がのみこみにくい、C尿、便の失禁がある、などの障害があるとされているが、これらの障害は、いずれも単独では障害認定の対象となるレベルのものではなく、また、総合的には、前記「労働不能」の判断に含めて評価されていることを念のため付言する。

以上の理由により主文のとおり裁決する。