平成19年(国)第206号
平成19年11月30日裁決

主文
社会保険庁長官が、平成〇年〇月〇日付で、再審査請求人に対し、障害基礎年金の支給をしないとした処分は、これを取り消す。

理由

第1 再審査請求の趣旨
再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、主文と同旨の裁決を求めるということである。

第2 再審査請求の経過
1 請求人は、統合失調症(以下「当該傷病」という。)により障害の状態にあるとして、平成〇年〇月〇日(受付)、社会保険庁長官に対し、障害基礎年金の裁定を請求した。
2 社会保険庁長官は、平成〇年〇月〇日付で、本件裁定請求書に添付された診断書等を診査した結果、当該傷病の初診日を平成〇年と認定した上で、請求人は、当該初診日の前日において、障害基礎年金を受けるために必要な保険料納付等に関する要件を満たしていないという理由により、請求人に対し、障害基礎年金を支給しない旨の処分(以下「原処分」という。)をした。
3 請求人は、原処分を不服とし、〇〇社会保険事務局社会保険審査官に対する審査請求を経て、当審査会に対し、再審査請求をした。

第3 問題点
1 障害基礎年金を受けるためには、@対象となる障害の状態が、国民年金法施行令(以下「国年令」という。)別表に掲げる程度(障害等級1級又は2級)に該当すること、に加えて、A当該障害の原因となった傷病に係る初診日の前日において、国民年金の保険料納付等に関する所定の要件(以下「保険料納付要件」という。)を満たしていることが必要とされるが、同初診日において20歳未満であった者の場合に限り、このAの要件が必要とされない(国民年金法(以下「法」という。)第30条、第30条の2及び第30条の4)。
2 本件の場合、請求人の当該傷病に係る初診日(以下「当該初診日」という。)が平成〇年(請求人は〇〇歳から〇〇歳)にあるとした場合、その前日において、同人が保険料納付要件を満たしていなかったことは、明らかであるところ、請求人は、当該初診日は請求人が20歳未満(〇〇歳から〇〇歳)であった昭和〇年〇月である旨主張しているのであるから、本件の問題点は、請求人のこの主張に理由があると認められるかどうかということと、これが認められた場合、裁定請求日における、請求人の当該傷病による障害の状態(以下「本件障害の状態」という。)が、障害等級2級以上に該当すると認めることができるかどうかということである。

第4 審査資料
「(略)」

第5 事実の認定及び判断
1 (略)
2 上記認定した事実に基づき、本件の問題点を検討し、判断する。
(1) 初診日に関する証明資料は、法が、発病又は受傷の日ではなく、初診日を障害基礎年金の受給権発生の基準となる日と定めている趣旨からいって、直接それに関与した医師又は医療機関が作成したもの、又はこれに準ずるような証明力の高いものでなければならない、と解するのが相当であるところ、請求人は、同人が〇〇歳に到達した前後である昭和〇年〇月にa 病院を受診して本件心臓神経症と診断されたことをもって、それが当該傷病の初診日であると主張しているが、そのことを直接に証する診療録等の医証が得られないから、当審査会としては、前記1で認定した事実に基づき、それに代わり得る資料により請求人の上記主張に理由があると認めることができるかどうかを検討することとする。
(2) まず、請求人の当該傷病の病状経過を回顧的にみてみると、本件心臓神経症は当該傷病の前駆的症状と認めるのが相当である。次に、本件心臓神経症の初診日であるが、請求人は、高校に入学後、神経質に様々なことを考えたり、動悸等の症状を訴えて医療機関を受診していたとされ、昭和〇年〇月(〇〇歳当時)、請求人がa 病院を受診し、担当のA医師から本件心臓神経症と診断されたと申し立てているところ、これと同趣旨の申立てが請求人が本件裁定請求を行う〇年ほど前の平成〇年〇月の診療録に記載されていること、当時、同病院b 科にはA医師が在籍しており、同b科のみでも相当数の医師が在籍し、在籍医師の入れ替わりが相当程度あると認められるa 病院のような病院については、当事者でない限り、四半世紀前(平成〇年からでも〇〇年以上前)の担当医の名前を正確に挙げることは容易ではないこと等から、請求人の申立てを信ずるに足る根拠があること、平成〇年〇月、動悸を主訴としてa 病院に救急搬送されたことを契機に精神科受診に至ったことを総合的に判断すると、請求人の上記主張には理由があるとするのが相当である。
(3) 以上みてきたところから、請求人の当該傷病の初診日は、昭和〇年〇月とするのが相当であり、請求人は当時20歳到達前であったことから、前記第3の1の保険料納付要件は、問題にならない。そして、裁定請求日における本件障害の状態は、前記1の(3) から、国年令別表に定める2級の程度に該当すると認められる。
(4) そうすると、請求人に対しては裁定請求日の属する月の翌月から障害等級2級の障害基礎年金を支給すべきことになり、原処分は取消しを免れ得ない。

以上の理由によって、主文のとおり裁決する。