平成20年(国)第484号
平成21年6月30日裁決

主文
社会保険庁長官が、平成○年○月○日付で、再審査請求人に対し、障害基礎年金を支給しないとした処分は、これを取り消す。

理由

第1 再審査請求の趣旨
再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、主文と同旨の裁決を求めるということである。

第2 再審査請求の経過
1 請求人は、統合失調症(以下「当該傷病」という。)により障害の状態にあるとして、平成○年○月○日(受付)、社会保険庁長官に対し、いわゆる事後重症による請求として、障害基礎年金の裁定を請求した。
2 社会保険庁長官は、平成○年○月○日付で、請求人に対し、「請求のあった傷病(統合失調症)の初診日(昭和○年○月○日)の前日において、初診日の月前の直前の基準月(昭和○年○月)の前月(昭和○年○月)までの国民年金の被保険者期間(a)のうち、保険料納付済期間(厚生年金保険の加入期間を含む)の月数と保険料免除期間の月数とを合算した月数(b)が前記国民年金の被保険者期間の月数の3分の2に満たないため障害基礎年金は支給されません。」として、障害基礎年金を支給しない旨の処分(以下「原処分」という。)をした。
3 請求人は、原処分を不服とし、○○社会保険事務局社会保険審査官(以下「審査官」という。)に対する審査請求を経て、当審査会に対し、再審査請求をした。

第3 問題点
1 いわゆる事後重症による障害基礎年金の支給を受けるためには、支給事由となる障害の原因である傷病について初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日(以下「初診日」という。)が20歳到達以後にあって、かつ、それが平成3年5月1日前にある場合、その前日において、国民年金の保険料の納付等に係る次のいずれかの要件を満たしていなければならない(以下、この要件を「保険料納付要件」という。)、とされている(国民年金法(以下「法」という。)第30条第1項、第30条の2第1項及び同条第2項並びに国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)附則第20条第1項及び同附則第21条)。
@ 初診日の属する月前における直近の基準月(1月、4月、7月及び10月をいう。以下同じ。)の前月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2以上であること
A 初診日の属する月前における直近の基準月の前月までの1年間のうちに保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の被保険者期間がないこと
2 そして、いわゆる事後重症請求による障害基礎年金は、保険料納付要件を満たしたうえで、裁定請求日において、請求傷病による障害の状態が、国民年金法施行令別表(以下「国年令別表」という。)に掲げる程度(障害等級1級又は2級)に該当する場合に支給される。
3 本件の場合、当該傷病に係る初診日(以下「当該初診日」という。)が昭和○年○月○日であることに当事者間の争いはないから、本件の当面の問題点は、当該初診日の前日において請求人が保険料納付要件を満たしていると認めることができるかどうかということである。そして、これが認められた場合、裁定請求日における請求人の当該傷病による障害の状態(以下「本件障害の状態」という。)が障害等級2級以上に該当すると認めることができるかどうかということである。

第4 審査資料
「(略)」

第5 事実の認定及び判断
1 「略」
2 本件の問題点について検討し、判断する。
(1) 法第30条の2第2項で準用する法第30条第1項ただし書の規定は、「ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、この限りでない。」であり、この規定を事後重症請求に準用する場合に「初診日」を「支給請求日(注:裁定請求日のこと)」と読み替えることは、準用の域を超えるところのものであり、政策論としては格別、請求人の主張を採用することはできないといわざるを得ない。
(2) そこで本件の場合、当該初診日の属する月前における直近の基準月は昭和○年○月であり、その前月である同年○月までに請求人の国民年金の被保険者期間が○か月あるが、その保険料は同年○月○日に一括納付されているから、当該初診日の前日における保険料納付要件が満たされていないことは明らかであるところ、○○町から保険料の収納を委託された本協組が、昭和○年当時、各年度の保険料の過去分、当月分及び将来分合せて○年分をその組合員が組合員勘定の決済月である○月に一括納付・決済する取扱いを認めており、保険者の側でも、このような変則的な取扱いを是認していたことが窺われる。そうすると、請求人に係る昭和○年○月及び○月の保険料は納期限までに納付されたものとみなすことができるから、当該初診日の前日において請求人は保険料納付要件を満たしていたと認められる。
(3) また、裁定請求日における本件障害の状態は、国年令別表に定める障害等級2級に該当すると認めることができる。
(4) 以上みてきたところから、請求人に対しては、裁定請求日の属する月の翌月から障害等級2級の障害基礎年金を支給すべきことになり、これと趣旨を異にする原処分は取消しを免れない。
以上の理由によって、主文のとおり裁決する。