平成21年(国)第66号
平成21年11月30日裁決

主文
社会保険庁長官が、平成○年○月○日付で請求人に対し、国民年金法第30条の4第1項及び第2項のいずれにも該当しないとして障害基礎年金を支給しないとした処分のうち、後者に係る処分を取り消し、同人には、平成○年○月から障害等級2級の障害基礎年金が支給されるものとする。本件再審査請求の、その余の請求は、これを棄却する。

理由

第1 再審査請求の趣旨
再審査請求人(以下「請求人」という。)の再審査請求の趣旨は、障害基礎年金の支給を求めるということである。

第2 再審査請求の経過
1 請求人は、曲折線状魚鱗癬(以下「当該傷病」という。)により障害の状態にあるとして、平成○年○月○日(受付)、社会保険庁長官に対し、障害認定日による請求( 予備的に事後重症による請求)として、障害基礎年金の裁定を請求した。
2 社会保険庁長官は、平成○年○月○日付で、請求人に対し、「国民年金法第30条の4第1項非該当 国民年金診断書の審査結果、国民年金法施行令別表に定められている障害年金1級・2級の障害の程度に該当していないと認定されたため。」との理由により、障害基礎年金を支給しない旨の処分( 以下「原処分」という。) をした。なお、原処分の通知書上の不支給の理由としては、前記のとおりであるが、本件審査請求に係る保険者の意見書の記載をしんしゃくすると、原処分は、当該傷病の初診日を昭和○年○月○日と認定した上で、請求人が20歳に達した日及び裁定請求日のいずれにおいても、同人の当該傷病による障害の状態が、国民年金法施行令(以下「国年令」という。)別表に定める程度(障害等級1級又は2級)に該当しないとして、なされたものと解される。
3 請求人は、原処分を不服とし、○○社会保険事務局社会保険審査官に対する審査請求を経て、当審査会に対し、再審査請求をした。
その不服理由は、「略」。

第3 問題点
1 国民年金法(以下「国年法」という。)第30条の4第1項の規定によれば、疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において20歳未満であった者が、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日において、障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日において、国年令別表に掲げる程度の障害の状態にあるときは、その者に障害基礎年金を支給するとされている。
2 また、国年法第30条の4第2項によれば、疾病にかかり、又は負傷し、その初診日において20歳未満であった者(同日において、被保険者でなかった者に限る。)が、障害認定日以後に20歳に達したときは20歳に達した日後において、障害認定日が20歳に達した日後であるときはその障害認定日において、その傷病により、65歳に達する日の前日までの間に、国年令別表に掲げる程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に障害基礎年金の支給を請求することができるとされている。
3 本件の場合、請求人の当該傷病の初診日が20歳前の昭和○年○月○日にあり障害認定日以後に20歳に達したことについては、当事者間に争いはなく、本件の問題点は、請求人の20歳に達した日及び裁定請求日における当該傷病による障害の状態が、いずれも国年令別表に掲げる程度に該当しないと認められるかどうかである。

第4 審査資料
「(略)」

第5 事実の認定及び判断
1 「略」
2 本件の問題点を検討し、判断する。
(1) 当該傷病による障害の状態で、障害等級2級の障害基礎年金が支給される障害の程度としては、国年令別表に「前各号に掲げるもののほか、身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」(15号)が掲げられている。
そして、社会保険庁では、国年法上の障害の程度を認定するためのより具体的な基準として「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」(以下「認定基準」という。)を定めているが、給付の公平を期するための尺度として、当審査会も、原則、この認定基準に依拠するのが相当であると考えるものである。(2) 認定基準の第2「障害認定に当たっての基本的事項」の「1 障害の程度」によれば、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度のもので、例えば、家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるものである、とされている。
また、請求人の当該傷病は、いわゆる難病であるところ、認定基準の第3第1章第18節/その他の疾患による障害によれば、いわゆる難病については、その発病の時期が不定、不詳であり、かつ、発病は緩徐であり、ほとんどの疾患は、臨床症状が複雑多岐にわたっているため、その認定に当たっては、客観的所見に基づいた日常生活能力等の程度を十分考慮して総合的に認定するものとするとされ、障害の程度は、一般状態が一般状態区分表(これは本件審査資料の一般状態区分表アないしオと同じ内容のものである。)のオに該当するものは1級に、同表のエ又はウに該当するものは2級に、同表のウ又はイに該当するものは3級におおむね相当するので、認定に当たっては、参考とする、とされている。
(3) 当該傷病は劣性遺伝により皮膚に継続した症状が発現する疾病である。障害の状態の評価に当たっては、皮膚に対する持続的処置、治療の必要度、時間的経過による症状等の変化から来る全身への影響度などが問題となる。
(4) 請求人が20歳に達した日頃の当該傷病による障害の状態は、自覚症状として、○○、○○、痒みがあり、他覚所見でも○○、○○、○○、○○、○○が指摘され、一般状態区分はウとされ、日常生活には多くの著しい制限があり、限定された環境でないと就労でき難いとされているものの、それらは主に「外見上の異常」ないし「外見上などの機能状態」から来たものと認められるのであるから、このような状態は、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度にあるとまではいえない。
次に、裁定請求日頃の障害の状態は、自覚症状として、○○、○○、○○、○○、○○、○○、○○があるとされ、他覚所見も○○は全身に、胸部には広範な○○にあり、病名のとおり線状で屈曲する落屑にとりかこまれる局面を無数にみとめ、○○、○○をもみ、頭頂部に脱毛斑をみとめるとされ、一般状態区分ではウとされるものの、現症時の日常生活活動能力は、外見上の異常に加え、○○○不全、○○○が認められ、時間経過、加齡、環境などの影響による病勢の変化、増悪が窺われる。毎日の多くの時間をかけた皮膚の処置がなければ感染等がおき、体調の維持管理が難しいとされ、このような処置は単なるケアというよりも、治療としての処置として考えるのが医学的にも自然であり、妥当である。さらに、多汗、ホコリなども増悪因子となるので職場環境にも制限があるとされる。従って、このような状態は、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度に至っていると認めるのが相当である。
(5) 以上によれば、請求人の当該傷病による障害の状態は、障害認定日( 20歳に達した日)においては、国年令別表に掲げる2級の程度に該当すると認めることは困難であるが、裁定請求日においては、国年令別表に掲げる2級の程度に該当すると認めるのが相当である。
(6) そうすると、前記(5) とその趣旨を異にする限りにおいて、原処分は取り消さなければならない。
以上の理由によって、主文のとおり裁決する。